第6回 GISによる空間解析演習



 

1.目標:「駅から近いところに何があるか、調べてみる。」

2.使うデータの確認

(1)デスクトップにある

p2shareフォルダをドライブ T: として割り当ててください。演習用の共通データを使う場合、必ず行ってください。

(2)T:\gis\geodata\ex0525 の中には次の地図ファイルを用意しています。

地図名 ファイル名
鉄道路線図 railway.shp
鉄道駅 station.shp
道路網 roadnetw.shp
郵便局 post.shp
土地利用メッシュ lumesh31.shp
武蔵工業大学 mitech.shp
国勢調査地域メッシュ mesh.shp

3.ArcViewの環境設定

ArcViewは地図表示・解析のためのソフトで、基本モジュールといくつかのオプションモジュールから構成されています。今後の利用のために、以下のようにデフォルト環境を設定しましょう。

(1)「スタート/プログラム/ArcView3.1/ArcView GIS version 3.1」(あるいはデスクトップにあるArcViewアイコンをダブルクリックする)、ArcViewを起動します。ArcViewのプロジェクト名は「無題」となっています。

(2)「ファイル/拡張機能」を選びます。利用可能な拡張機能一覧が表示されています。

チェック項目 利用可能な拡張機能名 機能
  CADファイルサポート AutoCAD形式の読み込み用
  データベース・テーマ・サポート 大型地図データベース形式用
  デジタイザ・サポート デジタイザで地図入力用
× IMAGINEイメージ・サポート 衛星画像処理ソフトIMAGINEの形式
  JPEG(JFIF)イメージサポート JPEG形式
× Network Analyst ネットワーク解析
× Spatial Analyst 空間解析
  S-PLUS for ArcView GIS 空間統計解析
  VPF Viewer VPFファイル形式

(3)上表に"×"が示す項目をチェックしてください。(S-Plusオプションは問題があって、当面チェックしないでください)

(4)「デフォルト作成」をクリックしてください。

(5)「OK」をクリックしてください。

これで、理論上、デフォルト拡張機能が設定されまして、次回以降はこれらの拡張機能がいつも使えるようになるはずです。しかし、本キャンパスでは、ユーザが自分の利用環境を変更できないため、ログオフすると、設定が無効となります。ですから、ログオンしてから、はじめてArcViewを起動するときに、いつもこの設定を確認してください。但し、予定する作業にはこれらの拡張機能を使わない場合、設定する必要がありません。

(6)自分のZ:\ドライブに演習用フォルダとしてgisを作ってください。

4.ArcViewプロジェクトを作りましょう。

(1)ビューアイコンをダブルクリックすると、View1ウィンドウが表示されます。

(2)メインメニューの「ビュー/テーマを追加...」を選びます。図1のテーマ選択画面が表示されます。

図1 テーマの選択

左下のリストでテーマの種類(画像:イメージ・データ・ソースか地図:フィーチャー・データ・ソース)を選びます。その隣のリストフィールドでドライブ番号を選びます。

(3)ドライブ番号をT:、フォルダをT:\gis\geodata\ex0525\へ移動します。すると、図2のような選択できるテーマリストが表示されます。

図2 選択できるテーマの一覧

(4)テーマリストから例えば、Roadnetw.shpを選択すると、そのテーマはView1のテーマリストに表示されます。

(5)Roadnetwテーマをチェックすれば、ビューウィンドウに道路地図が表示されます。

(6)Roadnetwテーマをダブルクリックすると、凡例を編集することができます。凡例エディタで「適用」をクリックすると、新しい凡例が表示されます。

(7)同じ方法で、railway.shpを追加し、view1に表示してください。

(8)プロジェクトを保存します。「ファイル/上書き保存」を選びます。

(9)保存先を聞いてくるので、Z:\gisに保存してください。名前は任意。ここではenshu1.aprとします。拡張子は必ず.aprとしてください。(次回以降に、プロジェクトを名前付けて保存ができないようだ。大事なプロジェクトなら作業に入る前にバックアップをとっておきましょう。)

(10)「ファイル/すべてを閉じる」を選び、View1を閉じます。

(11)「プロジェクトを閉じる」を選びます。保存するかと聞いてくきます。「いいえ」と答えてください(プロジェクトのレイアウトが変わったため、保存の確認)。プロジェクトを終了します。

(12)「ファイル/プロジェクトを開く...」を選びます。

(13)ファイルダイアログに表示されるのはプロジェクトファイル(*.apr)のみ。先ほど保存したenshu1.aprを選択します。

(14)プロジェクトの内容が表示されます。

以上、(1)〜(14)はArcViewのプロジェクトを作る基本手順です。ほかの地図ファイルも読み込んで、自分のプロジェクトを作ってください。

演習:

以上の方法で、演習用の地図データを読み込み、自分のプロジェクトを作ってください。結果はz:\gis\enshu1.aprとして保存してください。図3はその一例です。ファイルはt:\gis\geodata\ex0525\sample1.aprとして入っています。)

図3 ArcViewによる地図の表示

 

5.駅からの距離を計算してみよう(バッファ機能)

例えば、下宿を探すときに、不動産雑誌を見ると、よく「駅から○○m以内」とか、「コンビニまで△△m以内」などという売り文句を目にすることがあります。このように、私たちが日常生活で利用している施設からの「距離」は、私たちにとって重要な役割を果たしています。

GISを使えば、「駅から○○m以内」などという距離の計算は、すぐに行えます。

今回の演習では、GISを利用して、施設からの距離の計算方法をいくつか習得します。

まず、駅からの距離帯を示す地図を作りましょう。

(1)「Station.shp」をアクティブ(View1上で選択した状態)にします。

(2)「解析(Analysis)」メニューから「距離を検出(Find Distance)」をクリックします。すると、右下の画面が表れます。

図4 出力グリッドの設定画面

駅からの距離帯を示す地図は、グリッド(ラスター形式のGISデータ)形式で作成・表示されます。そこでこの画面で、新しいグリッド地図の範囲、グリッドの大きさを指定します。

「出力範囲の設定」:「Same As Lumesh31.shp」とし、

「出力セル・サイズ」:50(メートル)とすると、自動的に「行数」が230、「列数」が270に指定されます。

(3)「OK」をクリックします。すると、「Station.shpまでの距離」というテーマが、View1画面の先頭に表れます。このテーマをアクティブにすると、左下のような画面が表れます。

図5 駅からのバッファー(凡例エディタで分類数を調整できる)

(4)さて、私たちが今知りたいのは、「駅から○○m」というものです。今回は、駅から500m以内の距離帯を探してみましょう。このような距離帯を探すには、「解析」メニューの「マップ検索」をクリックします。すると、図6のような画面が表れるので、「レイヤ」から「Station.shpまでの距離」をダブルクリックし、次に不等号記号、最後に数字をクリックして入力します。

図6 マップ検索

(5)「評価」をクリックすると、View1の先頭に「検索条件の設定1」というテーマが追加されます。表示してみると、駅から500メートル以内の領域だけが選択されているのがわかります。

(6)「検索条件の設定1」をアクティブにし、「テーマ/プロパティ...」を選びます。

(7)テーマの名称を「駅から500m」とします。

(8)「テーマ/シェープファイルに変換」で、シェープファイルに変換します。シェープファイルは自分のZ:\gisフォルダにsta500.shpとして保存します。

重要注意:保存先のシェープファイル名は半角8文字または全角4以下にしてください。超えるとアプリケーションエラーが起き、プログラム終了となります。

(9)「Station.shpまでの距離」テーマをアクティブにし、「編集/テーマの削除」を選びます。メッセージが表示されますが、真ん中の「はい」をクリックしてください。

(10)「ファイル/上書き保存」をします。すると、プロジェクトの最新内容は保存されます。

演習:

  1. 凡例エディタを使って、バッファーレイヤの表示を直してみよう。値が1の方が、駅から500m以内を意味します。図7のように設定し、駅レイヤ、郵便局を前面にすると、図8のような表示となります。

図7 凡例エディタで表示方法変更

  1. (2)でグリッドサイズを変更すると、どのような地図が出来るだろうか。またその地図は、50mグリッドサイズに比べて、どのように違って見えるのか。
  2. 図6の画面で距離を示す数字を変えると、自分の調べたい距離帯のバッファー図が作成できます。そこで、距離帯の数字を変えていくつかのバッファーゾーンを作成して下さい。

図8 レイヤ位置の調整と表示結果(駅から500m以内にある郵便局がわかる)

 

6.道路ネットワークを使った駅からの距離を調べよう

5.で作成した距離帯は、駅からの直線距離(半径)を用いて作成したものです。しかし私たちは鳥のように自由に空を飛んで移動するのではなく、道路の上の歩いて(時には自転車や車に乗って)移動します。従って、私たちには道路上の距離が実際の距離であるといえます。GISを使えば、こうした道路上での距離を利用して、駅からの距離などを計算できます。

(1)「roadnetw.shp」をアクティブ(View1上で選択した状態)にします。

(2)「ネットワーク(Network)」メニューから「商圏を検出」を選びます。

図9 「商圏を検出」の選択

(3)「サイトの読み込み」をクリックし、「Station.shp」を選択すると、次のような状態になります。すると、駅の勢力圏の計算となります。

図10 駅ファイルの読み込み

(4)各行をダブルクリックし、サイト番号のコストを500と打ち込みます。

図11 駅の影響方法の設定。ここでは一律500

(5)をクリックします。すると、次のように、道路距離での駅勢圏が表示されます。「Snet1」はネットワーク上での到達可能リンク、「Sarea1」はその範囲を示しています。

図12 道路ネットワークを考慮したバッファー

演習:

  1. (4)で「詳細商圏」ダイアログをクリックすると、「Sarea1」とは異なった範囲が表示されます。これは、道路ネットワークの存在しない空間を含まないエリアを計算します。
  2. 5で作成した500mバッファと比較してみて下さい。どちらの方法はより現実に近いのか。
  3. 「Post.shp」を表示して、500mバッファの場合と比べて駅勢圏に含まれない郵便局を探してみましょう。
  4. 駅の影響範囲は、このように道路ネットワークを考慮することができるが、どこか足りないことがないでしょうか。

7.駅から500m以内の土地利用を調べる

次に、駅から500m以内の人口密度を調べましょう。

(1)「mesh.shp」テーマを表示させます。便宜上、mesh.shpテーマをレイヤの最後に移動してください。

(2)そして、アクティブにした状態でをクリックして下さい。すると、属性テーブルが表示されます。

(3)「ウィンドウ/<自分のプロジェクト>を選び、「テーブル」を選びます。「追加」をクリックし、「h7-02年齢別人口(5歳階級と3区分)総数.dbf」を選んで下さい。

(4)「h7-02年齢別人口(5歳階級と3区分)総数.dbf」の表頭から「メッシュ番号」をクリックし、更に「属性データ:mesh.shp」の表頭から「Meshno」をクリックして下さい。

図13 二つのテーブルの結合

(5)をクリックし、二つの表を結合させて下さい。正しくリンクできた場合、「h7-02年齢別人口(5歳階級と3区分)総数.dbf」のテーブルウィンドウは自動的に閉じます。

(6)ビューウィンドウの「Mesh.shp」をダブルクリックし、凡例エディタを表示させて下さい。

凡例タイプ:グラデーション

分類フィールド:総数

分類→クラスの数:8(自由に数を設定してください)

カラー・ランプ:(自由に選んでください。)

最後には、「適用」をクリックしてください。すると、人口密度分布が表示されます。

(7)「ウィンドウ/<あなたのプロジェクト>を選びます。そして、「テーブルをアクティブにします。「属性テーブル:Mesh.shp」を開き、「テーブル/条件検索」を選んで下さい。検索フィールドから「総数」を選び、下図のように入力し、「新規セット」をクリックして下さい。この操作で、100人/ha=625人/メッシュ以上のメッシュが選択されます。

図14 属性テーブルの条件検索

(8)「View1」を手前にして、「mesh.shp」がアクティブになっている状態で、「テーマ/シェープファイルに変換」を選んで下さい。すると、(7)で選んだメッシュだけがシェープファイルに変換されます。さらにこれを「pop625.shp」として保存して下さい。

図15 条件に満たすメッシュ(1haの人口が100人以上)

(9)5で作成した「Sta500.shp」の属性テーブルを開き、「テーブル/条件検索」を選んで「Gridcode=1」と入力して下さい。さらに、Viewをアクティブにし、「テーマ/シェープファイルに変換」を選び、これを「Sta500-2.shp」として保存して下さい。

10)「pop625.shp」をアクティブにして、「テーマ/テーマによる選択」を選んで下さい。下図のようにテーマ「Sta500-2.shp」の選択されているフィーチャ「の中に重心が含まれる」アクティブなテーマのフィーチャを選択し、「新規セット」をクリックして下さい。

図15 二つのテーマによる空間検索

(11)すると、次のような状態になりますから、そのまま「pop625.shp」をアクティブにして「テーマ/シェープファイルに変換」を選び、「pop625sta500.shp」として保存します。ここで作成されたシェープファイルは、「駅から500m以内で居住人口100/ha以上」の地区を意味します。

図16 人口が100/ha以上(茶色)、駅から500メートル以内のメッシュ(紫)

 

図17 結果表示の例(厳より)

演習:

  1. 以上の手順を練習し、GISによる空間検索の手法を理解してください。
  2. 駅から500m以内であるにも関わらず、人口密度が低い駅を探してみよう。またそのような駅周辺の地区は、なぜ人口密度が低いか考えてみよう。
  3. 6で作成した道路ネットワークでの駅勢圏でも同じ手順の分析を行ってみよう。