研究室Q&A

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Q1.EcoGISとは

Q2.「持続可能な発展」と「持続可能な地域発展」と,なにが違いますか.

Q3.シラバス表題にある「仕組みづくり」,「システムづくり」とは

Q4.「EcoGISの開発と実証実験」とは,システム開発ばかりのことですか.

Q5.EcoGISの実証実験って,どんなことをやるんですか.

Q6.厳研では何を学べるんですか.

Q7.厳研ホームページ左上のロゴはなにを意味していますか.

Q8.厳研にはGISや情報系の人ばかりですか.

Q9.GISができなくても,厳研に入れますか.

Q10.厳研では,GISや衛星画像をやっているのはわかるけど,それ以外なにもないのではないでしょうか.

Q11.厳研では必ずプロジェクトやチームに入らなければいけませんか.

Q12.厳研でもプログラミングが必要ですか.

Q13.厳研にはなぜ4つのプロジェクトと1つのチームがあるのですか.

Q14.厳研では,プログラミングを学べますか.

Q15.厳研に入るには履修条件がありますか.

Q16.厳研はきついと聞いていますが,ほんとうですか.

Q17.厳研のプロジェクトは先生のやりたいことばかりで,学生はその手伝いにさせられているのではありませんか.

Q18.厳研はほかの研究室とどこが違いますか.

Q19.厳研が育てる学生はどんな人でしょうか.

Q20.厳研学生には対応する資格はあるでしょうか.

Q21.厳研の卒業生はどこに就職していますか.どんな就職先が考えられますか.

Q22.厳研の海外研究は中国だけで,ほかの国のことはやりませんか.

Q23.厳研では中国語が必須ですか.

Q24.厳研では,学生の勉強・研究にどんな支援体制があります.

Q25.「厳」先生はほんとうに厳しいですか.


Q1.EcoGISとは

"Eco"とはエコシステム(Ecosystems)のことで,人間と自然の関係を研究する科学です."GIS"とは地理情報システム(Geographic
Information Systems)のことで,地理空間的情報をコンピュータで管理,処理,サービスする技術であって,環境的,社会的現象を分析する科学でもあります.

"EcoGIS"とは,地球や地域の生態環境に関する情報と,地理や地質から人間生活までの地理情報を,集めて管理・分析し,さまざまな応用問題の解決に活用する環境指向的GISのことです.EcoGISは現段階で一つのソフトウェアやシステムを指すものではありませんが,本研究室の研究プロジェクトから生まれる研究成果を徐々にシステム化し,情報ツールとして作っていくことを考えています.

私たちは"EcoGIS"で従来からある"GIS"と概念をあらそうつもりはありません.あくまでも地理空間情報に組まれる自然のメッセージを追求して,地理空間情報で表現し,それによって,持続可能な社会発展の追求へつなげようと願う気持ちを表しているだけであります.厳研はこの気持ちを共有してくれる人たちで集まっています.


Q2.「持続可能な発展」と「持続可能な地域発展」と,なにが違いますか.

A.持続可能な発展の概念に関して,さまざまな議論が存在しています.その概念に反対する人さえ少なくありません.しかし,環境問題は人間社会が直面している最大の課題であることに,疑う余地はありません.それをもっとも実感できるのは,人間の生活の周りであって,われわれがいう「地域」であります.地域のスケールはさまざまですが,みんなが共通に意識をもてる領域として考えられます.村,県,州から大陸スケールまで考えてもおかしくありません.


Q3.「仕組みづくり」,「システムづくり」とは.

A.仕組みとは環境問題や地域社会の問題を解決するための政策や制度のことです.「システム」は本来,さまざまな意味がありますが,ここではそれらの政策や制度の作成,運用,管理を支援する情報システムや情報サービスのことを指します.


Q4.「EcoGISの開発と実証実験」とは,システム開発ばかりのことですか.

A.EcoGISは前述のように,一つの情報的考え方に過ぎません.既存の地理情報システムを利用することも,新しいシステムの開発も含まれます.また,実証実験に関しては,GISのシステムを使わなくて,調査することもあります.「EcoGISの開発と実証実験を通して」を副題にしているのは,環境と情報を融合した持続可能な地域発展へのアプローチを明確にしたかったからです.


Q5.実証実験って,どんなことをやるんですか.

A.厳研では,現在,地理情報を里山の問題,砂漠化の問題,都市環境の問題,高原環境の問題の解決に,どのようにすればもっと役にたつようにできるかに関する研究をしています.たとえば,衛星画像や地図一枚を住民,子供,行政担当者にみせて,問題の理解にどのような効果があるか,を調査するのも実証実験です.また,応用システムが作られて,その効果を評価するのも実証実験です.さらに既存の地球環境問題に対する制度や取り決め(たとえば京都議定書)の実施のために,地理情報をどのように応用するかを考えるのも実証実験です.ですから,実証実験を通して,われわれの研究開発をいっそう社会に応用するように指向しています.


Q6.厳研では何を学べるんですか.

A.あなたの知らない世界がここにあり,学べるものはたくさんあります.しかし,この質問はSFCにおいて,あまり適切ではありません.研究プロジェクトは研究のためのプロジェクトで,勉強のための授業ではありません.つまり,研究プロジェクトと授業は違うのです.皆さんにはこのことをきちんと理解してほしい.授業の場合,先生が一方的にしゃべって,学生が一方的に聞いておしまいのことが多い.そのなかで既存の知識を学んだりします.研究プロジェクトは,未解決の問題を取り上げて,研究するところです.ここでは,毎週決まった時間に,決まった内容のことを教えていません.

厳研では,フィールドワーク(地域調査),チームワーク(プロジェクトチーム),スキルワーク(GI技術トレーニング)を通して,自分で問題を発見し,それをプロジェクトに立てて,地理情報技術や調査技術を持って解決する能力を育てています.そのなかで,GIS技術,フィールドワークの方法,チームワークの方法,論文の書き方,プレゼンテーションの方法,プロジェクトの企画・運営・まとめの方法どなどが学べます.


Q7.厳研ホームページ左上のロゴはなにを意味していますか.

A.それは厳研のロゴです.ブールバックにEcoGISが大きく描かれています.ブルーは海の色で,生命・自然・環境を意味します.ロゴの右にある"Sensing
and Mapping the Enviornment"はEcoGISの下に書かれている厳研のキャチコピーです.Sengingはリモートセンシング,フィールドセンシングのセンシングでも使われているように,情報やメッセージを測定したり,感知したりすることを意味します.そういった技術のことだけでなく,フィールドで五感を使ってセンスを磨きましょうという期待もこめられています.Mappingはまず製図の意味があって,センシングの結果をGISで地図を作ることを指します.Mappingにはさらに配置,射影,描写の意味もあります.それを環境に適用して環境の再創造をも表しています.最後にくる"the
Evnironment"は厳研の研究対象である“環境”を特に指しています.ここでは基本的に自然環境を表しています.ですから,”Sensing
and Mapping the Environmentは自然環境の状態を測定・感知し,描写・記述・計画する”ことを意味し,厳研で学ぶこと,研究することをもっとも的確に表していることばだと思っています.


Q8.厳研にはGISや情報系の人ばかりですか.

A.いいえ,厳研の現在の履修者構成を見ると,総合政策系と環境情報系が半分ずついます.ばりばりプログラムを作れる人もいますし,アンケート調査,住民インタビューを得意とする人もいます.そこは面白いのです.問題を知っているひとと,ツールを使う人と,ツールを作る人とチームワークにすると,あなたの能力は倍以上に伸ばすことができます.またツールづくりを得意とする人も,応用問題を知っている人と手を組むと,実践の場を得て,早く腕を評価してもらうことができます.ただし,研究ではGISを使わなくても,GISの必要性や有用性に対する理解は欠かせません.


Q9.GISができなくても,厳研に入れますか.

A.はい.問題はありません.やる意欲さえあれば,研究室に入ってから,トレーニングコースがあります.それをやればすぐに上達になれます.また,プロジェクトに入ると,さまざまな知識を指導してくれる先輩がいます.先生も丁寧に一人一人の勉強と研究を指導します.重要なのは自分が積極的に,前向きに取り組むことです.


Q10.厳研では,GISや衛星画像をやっているのはわかるけど,それ以外なにもないのではないでしょうか.

A.そのようにみられるのはとても残念です.確かに私たちは地理情報(衛星,地図)をよく使います.情報計測,管理,分析の最先端を走っている現代情報技術の重要な分野だから,手放すことはありません.なかでも研究すべき課題も多いし,学生の就職にもとてもよい効果をもたらしています.

実際,私たちが地図や衛星画像に対する見方は,情報工学と違います.私たちはデジタル画像や地図の数値が表している環境や社会の状態または変化の過程,人間活動とのかかわり方を見ています.自然や社会のことというと,基本的には物質の循環,エネルギーの流れと情報の流通で代表されます.それは地図や衛星画像上で,そして現地でどのように発生し,循環または流れているかを読み取って,問題の解決や社会の発展に役に立つようにするのが目的です.そのために,プロジェクトに応じた専門知識を勉強しなければなりません.そういった知識は研究会の中,外部との会議,フィールド,独学などを通して,勉強してもらっています.各プロジェクトのホームページに参考書も掲載されています.また,研究室ホームページに推薦図書も掲載しています.


Q11.厳研では必ずプロジェクトやチームにはいらなければいけませんか.

A.はい,少なくとも最初の1学期の間に,どれかのプロジェクトまたはチームに入って,GIトレーニングを先輩の指導のもとで,受けなければなりません.それから研究室の方針と一致するコンセプトがあって,二人以上の参加があれば,新しい研究プロジェクトを立ち上げることができます.ただしプロジェクトの参加者は1学期だけの履修は認めません.新しいプロジェクトを企画し,成果を出すまでには,時間がかかります.継続される保障のないプロジェクトは研究室であまりサポートできません.


Q12.厳研にはなぜ4つのプロジェクトと1つのチームがあるのですか.

A.厳研の4つのプロジェクトは,4つのスケールの地域問題を代表しています.里山プロジェクトは数キロ程度の範囲,都市やホルチン砂地は数10キロの範囲,チベット高原は数百キロの範囲をカバーしています.それは空間スケールの違いだけでなく,扱う人間コミュニティの大きさや特性も違います.また,都市←里山←半農半牧業のホルチン砂地←全牧業のチベット高原は異なる社会発展の段階にあるともいえます.四つのフィールドが問題にしていることは違っても,共通して自然の原理と情報技術が使って,横断的に取り組むことができます.現段階ではエコシステムの原理に基づいて共通のモデルを作るところまで至っていませんが,情報技術ツールは共通に使えることがわかっています.それは第五のチーム,「開発チーム」が作られた理由です.このチームはプロジェクト横断的に活動し,作った情報ツールをそれぞれのプロジェクトの内容にあわせてカスタマイズすれば,4つのアプリケーションになります.そして,それぞれのプロジェクトでツールを活用して,問題解決のための仕組みを提案し,検証することができます.


Q13.厳研でもプログラミングが必要ですか.

A.GISはもともと地理情報システムの略称であって,コンピュータシステムのことです.いまはGISソフトウェアが発達し,ユーザ独自にプログラムを開発する必要性が減っています.複雑なシステムは学生や素人では作れない時代となっています.しかし,インターネットの普及によって,より便利で,より身近な情報サービスを求める声が応用分野からあがっています.GISの分野では,WebGISやGoogle
Mapsをベースとしたアプリケーションが今後,爆発に増えると思われます.そのために,厳研では,地域情報の点検・評価・知識化,そして地域情報サービスを中心に,Webベース,Googleベースの技術を用いたインターネットツールを開発しています.


Q14.厳研では,プログラミングを学べますか.

A.厳研には,ばりばりプログラムを作っている学生もいます.また,プロジェクトではプロフェショナルなプログラマとの連携も強い.この人たちを中心に開発チームを作っています.初心者でも熱意さえあれば,一緒に学び,一緒に開発に参加することができます.さらに,応用問題を知っている人と一緒に活動するため,すぐにでも使えるネタは尽きません.


Q15.厳研に入るには履修条件がありますか.

A.いま現在,設けていません.しかし,2年終了時までに「環境情報概論」,「環境評価論」,「地理情報システム論」,「リモートセンシング基礎」,「環境リモートセンシング」,「空間分析AまたはB」を履修し,3年終了時に「空間モデリング」,「フィールドセンシング」,「地球設計論」などが履修されるのは望ましい.


Q16.厳研はきついと聞いていますが,ほんとうですか.

A.厳研では,春学期,秋学期とも,体系と目標をたてて,教育・研究プロジェクトを進めています.履修者にはもちろん研究室活動を優先してほしいですが,適切にサークル活動とアルバイトをするのも推奨しています.時間を有効に使えば,研究室活動もサークルもアルバイトも成り立つはずです.一学期に発表2~3回程度,リポートも一つだけのため,重い負担とは思いません.計画的にプロジェクトを進めるのが肝心です.また,研究会の時間は必ず90分以内に終わらせるようにしています.特別にイベントあるときを除いて,サークル・バイトの時間を奪うことはありません.そのかわり,事前に予告した研究室の公式イベントには必ず参加しなければなりません.


Q17.厳研のプロジェクトは先生のやりたいことばかりで,学生はその手伝いにさせられているのではありませんか.

A.これは厳研の教育・研究方針であって,そのように捉えられてもしかたありません.この質問は前半が正しくて,後半は正しくありません.

「正しい前半」:研究室や研究プロジェクトは教員が自分の研究経験と予算支援によって成り立っています.先生は自分のやりたいことを研究室のプロジェクトにしなければ,研究室としての意味はありません.また,研究室を運営するためには,費用がかかります.それを支援してくれるプロジェクトは大体先生の知識や成果に基づいてできています.それに関する研究を続かないと,研究室を継続させることもできません.

「正しくない後半」:学生は研究室のプロジェクトに参加することで,実践の場と,資金面の支援を得ることになっています.プロジェクトが要求する成果を必ずしも学生から出してもらうように要求していません.

「正しい捉え方」:研究プロジェクトも学生の研究興味も合致するときに,大きな成果を出すことができます.教員にも学生にもプレシャーがあって,やりがいも実感できます.ただし,基本的には学部生には大きなプレシャーをかけることはありません.自分のペースにあわせて勉強し,好きな研究のネタが見つかれば十分と評価しています.


Q18.厳研はほかの研究室とどこが違いますか.

A.厳研は持続可能な「地域」発展に関する政策系,地理情報技術系,環境デザイン系の境界領域にあります.ここでは,

1)厳研は特に「地域」に着目して,地域の持続可能な発展の仕組み・システムを研究しています.

2)地理情報技術を基本にしながら,環境問題を総合政策と環境情報から実践的に取り組んでいます.

3)日本という先進国と中国という途上国の問題を国際的に共通の視点で捉えて,一緒に考察しています.

4)「フィールドワーク」,「チームワーク」,「スキルワーク」というフレームのもとで研究・教育を体系的に進めています.


Q19.厳研が育てる学生はどんな人でしょうか.

A.厳研は,SFCの政策・メディア研究科の中ではEG(環境ガバナンス)に所属しています.このプログラムのなかでも,さらに環境問題,地域問題に対して,分析にアプローチを取る陣営にいます.このグループの研究室で育てる学生は,情報分析的スキルをもった,都市・地域の計画,環境問題の対策・政策の策定,環境ビジネスのプランが立てられるような,高度な人材となります.就職の分野でいうと,シンクタンク系,公務員系,情報技術系,環境・建設コンサルタンツ系,NPOや国際機関系,研究機関系になるでしょう.


Q20.厳研学生には対応する資格はあるでしょうか.

A.残念ながら,この分野は建築や情報処理と違って,これという資格は日本にはありません.海外ではプラナーという資格が代表的です.


Q21.厳研の卒業生はどこに就職していますか.どんな就職先が考えられますか.

A.まだ始まって3年しかたっていませんが,国家公務員,大手マスコミ,環境・建設コンサルタンツ,地理情報関連会社,大手コンピュータメーカ,証券会社,大学院進学など,さまざまですが,みんな一流の就職先です.ニートとなった人はいません.今後もこのような分野には強いでしょう.


Q22.厳研の海外研究は中国だけで,ほかの国のことはやりませんか.

A.国際研究では地域に対する理解は欠かせません.先生はオーストラリア,カンボジアなどのフィールドワークをやったことがあります.そのなかで,痛感したのは地元情報の欠如です.多くの国際協力がうまくいかないのも,ここに原因があります.ならば,中国のことなら,先生は日本のことも中国のことも両方よく理解しているし,現地との協力体制もできています.そのために,現在,中国のホルチン砂地とチンハイ・チベット高原をフィールドにしています.この2箇所に関しては,先生が中国人だからだけでなく,日本人の方も大勢関わっています.地域密着型の研究フィールドとしてふさわしい場所だから選んでいます.いま,このネットワークを東アジアへ広げようと計画しています.


Q23.厳研では中国語が必須ですか.

A.いいえ,そうではありません.厳研では英語重視です.しかし,中国語のできる人も大歓迎です.毎年のフィールドワークは中国語のトレーニングの場としても使われています.中国の環境問題,開発問題に興味ある人は,いつでも交流に来てください.


Q24.厳研では,学生の勉強・研究にどんな支援体制があります.

A.研究会を履修してくれた学生に,一人一人の興味・個性に合わせて,研究方向,勉強資料をアドバイスしています.プロジェクトの発展に貢献してくれた人には,フィールドワーク,学会発表,展示会参加の交通費を補助しています.また,勉強に必要な資料・機材も殆ど自由に購入できます.


Q25.「厳」先生は厳しいですか.

有名無実ですね.とても温厚で学生に優しく接しています.ただし,研究や勉強に関してはかなり厳しいようです.


このページに関する質問はyan@sfc.keio.ac.jpまでお寄せください.

入門編


Q26.「研究室」・「研究会」・「研究プロジェクト」・「厳研プロジェクト」・「研究チーム」って,どういう意味ですか.区別が付きません.

Q27.厳研「研究プロジェクト」を履修した場合,時間割表にある「研究プロジェクト」の時間に出席すればいいですか.

Q28.GISを習得するには,どれだけの時間がかかりますか.

Q29.GISを上手に使うには,どんな知識が必要ですか.

Q30.自分のやりたいことと,研究プロジェクト全体のことをどのように捉えればいいですか.

Q31.4つのプロジェクトがあるので,どれに入っていいか,わかりません.

Q32.厳研の研究プロジェクトの理論基礎は何ですか.

Q33.フィールドワーク,チームワーク,スキルワークをそれぞれ,または互いにどう理解すべきですか.


Q26.「研究室」・「研究会」・「研究プロジェクト」・「厳研プロジェクト」・「研究チーム」って,どういう意味ですか.区別が付きません.

A.確かに煩わしい呼び方がいっぱいあって,学生にはわかりにくい.

「研究室」は,教員一人一人の研究部屋または複数の教員が利用している共同研究部屋のことです.

「研究会」は教員が主宰し,学生たちが参加している研究活動のことをいうでしょう.一般にいう「○○研」はこちらのことを意味します.

「研究プロジェクト」は一般には,特定の目的で立ち上げた時限付きの研究事業を指しますが,現在のSFC学部カリキュラムでは,単位取得の1科目として「研究プロジェクト」があります.その主旨は学生が研究事業に参加しながら単位も取得できることでしょう.

「厳研プロジェクト」は,厳研究会が現在推進している研究プロジェクト(広い意味で)のことです.

「研究チーム」は,厳研の各研究プロジェクトに共通する課題を横断的に取り組むためにm数人で構成される研究グループです.

以上の呼び方の関係をまとめると,つまり,SFCにおいて学生が「厳研究会」が主宰する「研究プロジェクト」科目を履修した場合,「厳研プロジェクト」または「研究チーム」に参加し,「厳研究室」を出入りして,研究をしたり発表したりして,単位も取得する仕組みとなっています.


Q27.厳研「研究プロジェクト」を履修した場合,時間割表にある「研究プロジェクト」の時間に出席すればいいですか.

A.研究室によって,「研究プロジェクト」を運営する方法は違いますが,この捉え方は「研究プロジェクト」というSFCの独特制度をあまり理解していない方の捉え方だと思います.つまり,授業と「研究プロジェクト」の違いを正しく理解されていないからです.

授業とは決まった時間に先生が教室に来て講義を行い,学生が集まって聞き,先生主導のもとで終わるものが多い.そこでは既存の知識体系を中心に教えます.研究プロジェクトは,結果の知らない,知識体系も出来ていない問題を取り上げています.だから,授業ではなく「研究」と呼ぶのです.

SFCのカリキュラムは研究プロジェクト重視となっています.「研究プロジェクト」では,先生が学生を指導する立場にいますが,学生は自分の興味,スキルにあわせて主体的に研究を進めるべきです.先生の指示を待って何かをするという姿勢はよくありません.研究事業としての「研究プロジェクト」を進めるためには,たくさんの知識を身につけて,たくさんの調査もして,「研究プロジェクト」時間に,みんなの前で発表し,友達に助けてもらったり,先生からアドバイスをもらったりします.ですから,「研究プロジェクト」の時間は研究プロジェクトの打ち合わせをする時間として理解したほうがいいでしょう.そのために,何を研究すべきかを,一学期単位でなくて,もっと長い時間で研究計画を立てるべきです.


Q28.GISを習得するには,どれだけの時間がかかりますか.

A.GISをソフトウェアあるいは一つのスキルで捉えているようです.それでも間違いではありません.理屈を問わなければ,地理情報を扱えるようになるには,1日で十分です.今日,便利なツールがいっぱいあります.メール・ボタンを感覚的にクリックすれば,地図の検索や表示は簡単にできます.少し理屈を知った上で使いたいなら,遅くて一週間で足りるでしょう.2日間で入門書を一冊読み,3日間で演習をやって,残りの2日間で応用問題を考えてみるとよい.

こんなに簡単なことだったら,逆に勉強する甲斐はないじゃないか思われます.私たちはGISをソフトウェアで捉えるだけでなく,地理情報,地理の原理を追求する地理情報科学として理解しています.そのために,自然科学と社会科学のことをいっぱい学ばないと,最先端のツールを手にしても,上手に使えません.


Q29.GISを上手に使うには,どんな知識が必要ですか.

A.まず,GISの基本原理を知っておきましょう.「GISの原理と応用」(厳網林,2003)は複合系の大学生のために書いた入門書です.それから,SFCカリキュラムで提供されているGISやリモートセンシングの授業,データ分析の授業を取っておきましょう.さらに,厳研プロジェクトはそれぞれの地域問題を取り上げているので,それに関する専門書を少なくとも一冊読んで問題を理解しましょう.それは各プロジェクトにおいて推薦図書が用意されています.また,随時先生に聞くのもいい.最後には,研究したい目標を立てて,論文や資料を勉強しながら,先生や先輩の指導,友達との議論のなかで,スキルも磨きながら問題解決の方法を考えていくのです.


Q30.自分のやりたいことと,研究プロジェクト全体のことをどのように捉えればいいですか.

A.厳研の研究プロジェクトは,いわゆる予算付きの研究事業と関連はあるが,学部生のみなさんにとって,研究フィールドとして捉えるだけで十分です.研究事業のミッションにがっちりあわなくても,個人的に興味のあることならば,テーマにして取り組んでいただいて結構です.皆さんはみんな独創的なことをやりたいのはとてもいいことです.でも,せっかく同じ研究プロジェクト参加しているのだから,チーム同士をよく連携するのも重要です.共通のデータを作ったり,一緒に調査に行ったり,相互に刺激となる情報を紹介したり,互いの研究結果を引用したるしてもらいます.知識の共有が出来る人が回りにいると,モティベーションがさらに高くなって,プロジェクトも順調に進められると思います.ですから個人研究の中で,積極的にグループの力を結集することに心をかけてください.


Q31.4つのプロジェクト+1チームがあるので,どれに入っていいか,わかりません.

A.これまでのQ&Aを見てきたように,4つのプロジェクトは「地域」という空間スケール,「持続可能な発展」という目標,「GIS」という地理情報技術を共通にしています.いずれのプロジェクトに入っても,厳研の考え方とスキルを学ぶことができます.

とはいっても,対象とする地域のスケールや当面直面している問題と文化背景も異なるため,4つのプロジェクト(+1つの開発チーム)はそれぞれ,緊急に解決すべき課題が異なります.広域の地理情報の解析や異文化体験や地域計画に興味ある人はチベット高原プロジェクト,NPOと環境ガバナンスや乾燥地環境や中国農村社会の再生に興味ある人は砂漠化対策プロジェクト,日本の里山保全や地域の活性化に興味ある人は里山プロジェクト,都市環境の診断と都市計画的対策に興味ある人は都市環境プロジェクトに,参加してみたらいかがでしょうか.プログラミングに特に興味ある人は開発チームを中心に活動していただいて,サブとして研究プロジェクトに参加するとよい.研究プロジェクトやチームを縦割りに考える必要はありません.ですから,厳研では「○○班所属」という言い方は使いません.


Q32.厳研の研究・教育の理論基礎は何ですか.

A.教科書一冊を渡して,「これ,勉強してこい!」としたいが,持続可能な発展は現代社会が直面している至難な課題であるだけに,さまざまなアプローチを試みているのは現状です.しかし,そのための枠組みは出来つつあると感じています.厳研のシラバスにはそれに関連するキーワードが随所あられています.あなたも厳研に入ってから,それを体系化し,かたちにする仕事の主役になれます.


Q33.フィールドワーク,チームワーク,スキルワークをそれぞれ,または互いにどう理解すべきですか.

A.フィールドワークを企画,参加,実践することで,組織力,行動力,観察力を養えることに有効です.昨今,メディアやデータが発達するなか,現場に行かなくて手に入る情報が増えています.しかし,現場を知っているか知らないかによって情報を読み解く能力が分かれます.また,経験は物言うと言われるように,「この目で見てきた」と一言だけでどれだけの疑念を避けられるか,そのパワーを測り切れません.

チームワークは,組織力,協調力を養います.現代社会において一人で出来ることは限られます.チームを組んで幅広く,末永く取り組むことで大きな成果を生み出すことが可能となります.個性の強い学生が多いキャンパスにおいて,チームをつくって,仕事を進めるためには,相当なリーダーシップが必要です.しかし,チームが出来て,仲間も増えて,成果が生まれた時の喜びも大きい.

スキルワークは,個人のさまざまなスキル,GISコンピュータの使い方,文章の読み方・書き方,仲間との協調の仕方などを指し,いわば一人一人の腕を伸ばすことを目標にしています.チームワーク,フィールドワークを進めるためにも,自分はそれなりにスキルがないと,立場がなくなります.一方,スキルは個人でコツコツやってマスターすることもあれば,フィールドワークやチームワークの中で身につくことも多い.

だから,フィールドワーク,チームワーク,スキルワークは鍛え方は違うかもしれないが,個人の成長にとって,どれも欠けることのできないものです.なんだか難しいように見えるが,基本は一つだけ.物事に対して,前向きに捉えて,前向きに取り組むこと.これさえ意識していただければ何も問題はありません.


最終更新日:2006年01月05日