砂漠化の定義

1.砂漠化とは

砂漠化(desertification)とは「乾燥,半乾燥および乾燥性半湿潤地域における様々な要因(気候変動および人間の活動を含む)に起因する土地の劣化」である。

・ 1992年6月にUNCED(United Nations Conference on Environment and Development:環
   境と発展に関する国連会議)で採択されたアジェンダ21より

また,土地の劣化とは,①風食,水食による土壌物質の流失,②土壌の物理・化学・生物特性の劣化,③経済性の劣化,④自然植覆の長期喪失である。


2.世界の砂漠化の現状

 地球規模土壌劣化評価会議(GLASOD)によると、過去45年間のうち、土地劣化の影響を受けている世界19億haの土地に上る.そのうち,最大の面積である5億5,000万haはアジア太平洋地域に存在している.また、アジア地域内の人口の39%に当たる13億2,000万人が干ばつと砂漠化の影響を受けやすい地域に居住している。

 砂漠化が最も深刻な問題となっているのがアフリカである。世界の耕作可能な乾燥地における砂漠化地域の割合を見ると、その約3割がアフリカで(UNEP, 1991)で、アフリカ大陸のほぼ3分の2が砂漠または乾燥地であり、この乾燥地における耕作地の4分の3がある程度の土地荒廃の影響をうけている。多くのアフリカ諸国は、深刻な干ばつにしばしば見まわれ、人々は生存のために自然資源の過剰採取を行わざるを得ないという悪循環が見られる。


3.砂漠化の原因

 砂漠化は,自然的要因(気候変化による降雨減少など)に人為的要因(過度な経済活動)が加わることで引き起こされ,加速化される。乾燥地・半乾燥地・乾燥性半湿潤地域では,元来、潜在的に砂漠化しやすい自然要因をもっている。すなわち,5m/secの限界以上の強風条件,乾季と強風期の一致,低降水量とその不安定さなどが関与する。また,植生破壊によって地表の粘性が低下することも,飛砂や風食の原因となる。

 ・過放牧
 ・ 薪炭材の過剰採取
    o (ヨルダン、イラク、シリアの3600万haは上記2つが原因で土壌劣化している
 ・風食:1億1000万ha
    o (湾岸諸国、イラン、シリア)
 ・水食
    o (サウジアラビア、レバノン、シリア、イラク ヨルダンの山岳地帯では、年間の土壌流出
     は200トン/ha),シリアでも同程度と言われている(CAMRE/UNEP/ACSAD1996))
 ・ 灌漑の失敗による塩害、アルカリ分、養分消失.
    o バーレーンの33.6%、ヨルダンの3.5%、クウェートの85.5%、シリアの5.9%で
     灌漑による塩害が発生.
 ・ 都市化による周辺農地の消失 .
    o 農用地の生産性の減少による農民の農地放棄及び都市への流入.
     シリアの土壌劣化の被害額は農業生産高の12%、GNPの2.5%に
     のぼると言われている。(シリア環境省1997)

中国の砂漠化の現状

 中国では,desertificationを「荒漠化」と表現する。「荒漠化」という用語は,1994年の国連砂漠化防止条約締結以降,使用されるようになった。また, 中国では, desertをその組成によって「土沙漠」,「砂沙漠」,「岩石沙漠」,「礫沙漠」などと区別し,これらの総称として、従来「沙漠」の語を用いていたが,条約締結以降は「荒漠」の語があてられている。ところで,中国でいう「沙漠化」とは荒漠化の一種,「沙質荒漠化」の略称であるといわれている。つまり,「元来砂漠でなかったところに風砂が活発な,砂質の荒涼とした環境を形成するような土地の劣化」を特に「沙漠化」いう(奥村,2000)。本研究では、日本における定義と慣習に従い,desertificationの対訳として「砂漠化」,desertの対訳として「砂漠」の語を用いる。 現在,中国における砂漠化面積は,262.2×104km2,国土面積の27.3%を占める。その範囲は18市471旗(中国の県と同レベル、日本の市町村相当)に及び,年間540億元(約8,100億円)の損失を生じている。場所により砂漠化の要因が異なり,各々の面積および分布地域は表1に示すとおりである。なかでも風食砂漠化の進行速度は年々早まっており,1960年代には1500 km2/年のペースであったものが,2000年以降は3000 km2/年のペースで砂漠化面積は拡大している。